NPO設立3周年記念講演「奈良を学んで日本を知る(2)~茶の湯と奈良~」

  • 開催日:2015年4月26日(日)
  • 場 所:登録有形文化財 志賀直哉旧居(奈良市高畑町1237-2)

内容

  1. ご挨拶:NPO法人日本文化研究所 なら 理事長 勝部月子
  2. 講演:「茶の湯と奈良」神津朝夫氏
  3. 芸能鑑賞:琴演奏  中村裕子氏、舟引智子氏

この度、私ども日本文化研究所はNPO設立3周年を迎えることとなりました。

その記念講演として神津朝夫氏をお招きし、「茶の湯と奈良」についてお話し頂きました。

茶道史の第一人者である神津氏は、「茶の湯と日本文化」をはじめとした茶道に関する著書も多く、また裏千家の茶にも深く関わっていらっしゃいます。

講演では、茶が日本に伝来したころ、1200年前の815年4月(旧暦)に日本後記に記された「新茶を天皇が飲んだ」ことや、鎌倉時代には、奈良を代表する寺院において、茶が浸透していた様子等を詳しくお話いただきました。

さらに、室町時代に入ると、茶は日本各地で栽培されるようになり、寺院では茶を飲み比べて産地を当てる飲茶勝負「闘茶」が盛んに行われ、また茶屋でお金を払って「茶を飲む」ということも広がっていたそうです。

この後、奈良に珠光が登場し、東大寺郷の松屋と奈良にゆかりの茶人達が登場するまでのお話をお伺いしました。

著書の中でに、「掛け物や箱書きを書く高僧も多く、釜から始まって茶筅・茶巾・陶器・漆器等奈良県産のものだけで茶会が出来る」と奈良の茶人が言うとありますが、平安遷都の折、寺院が奈良に残されたからこそ東大寺や興福寺があり、 何処よりも早く茶の湯が盛んになった奈良に、茶道史に登場する茶人や茶と深くと関わりを持つ人々がいた…奈良の歴史は古代史を彩るだけのものでは無く、茶道史とも深く関わっていたようです。

神津氏が「春日権現記絵」に描かれている絵の中に、日本において最初のものと思われる茶道具の資料を発見なさった話も興味深いものでした。

貴重なお話をお伺いすることができたことを、大変うれしく思っております。

講演後は、お抹茶をいただきながら、新緑の庭を借景に、琴の演奏をお愉しみいただきました。

当日は、ベトナム留学生6名を含め、約40名参加されました。

ベトナムの学生さん達は、当研究所が実施しているベトナム出前授業において、現地(ホーチミン市)で受講された皆さんです。

ベトナムで日本語を学んだ後、現在は大阪大学へ留学中で、今回の再会となりました。

彼らが少しでも日本文化に触れることができるよう、会場で着物の着付をし、茶道体験も実施しました。

懇親会では、出前授業での懐かしい話をはじめ、両国の文化交流の展望などを日本語で熱く語る彼らの姿を見て、大変うれしく、頼もしく思いました。

今後も、次代を担う若者達に、日本の文化を伝承していきたいと考えております。