「日本を愉しむ~春日若宮おん祭」

  • 開催日:2014年12月17日(水)
  • 場 所:春日大社一の鳥居内 春日野お旅所

内容

  1. 講演会「春日若宮おん祭について」理事長 勝部月子(塔の茶屋にて)
  2. 春日若宮おん祭「還幸の儀」見学

大和一国を挙げての祭礼と言われる「春日若宮おん祭」。

その中のメインイベントである「還幸の儀」を見学してきました。

今年一番の寒さになるとの予報の中、暖をとるべく奈良公園にある塔の茶屋で集合しました。

塔の茶屋は奈良名物「茶粥」で有名なお店で、 趣向を凝らしたお料理をいただきながら、理事長の勝部月子よる「春日若宮おん祭について」の講演を聞きました。

参加者はそれぞれ完全防寒スタイルに身を包み、「還幸の儀」に出かけました。

春日大社境内、一の鳥居を越したあたり「お旅所」が設置されており数々の芸能が奉納されます。

我々が到着したころには舞楽が始まっており、左右の大太鼓が交合に打ち鳴らされ、左舞(唐楽)・右舞(高麗楽)を拝見しました。

午後11時前、行事終了のアナウンスがあり、 お旅所前の参道に松明が2本用意されました。

神官たちが準備を整えるうちに会場の照明がすべて消されました。

若宮様のお還りになる道を火で清める為に松明に火がつけられ、 木々が燃える匂いと共に沈香のさわやかな香りが漂う中、若宮さまは白布に囲まれて榊を持った神官達に守られながらお還りになりました。

我々も行列の最後尾を付いて行きました。

参道の明かりはすべて消されていましたが、砂利道の参道は月明かりでほの白く、道端には松明の燃えカスが誘導灯のように 赤く青く点々と続いていました。

その中をはるか彼方から聞こえてくる道楽に導かれ、暗さや怖さを感じることのない荘厳な空気に包まれながら参道を上がって行きました。

若宮神社までたどりつき、神事が行われやっと照明がつきました。

帰りは参道のかすかな照明の中を下りはじめましたが、足元があぶないため携帯電話の明かりをたよりに歩くことになりました。

彼方に自動車のライトが見えたときは、人間の世界に帰ってきたと思った瞬間でした。

八百七十有余年にわたり今日まで途切れることなく続いてきた奈良の一年を締めくくる行事「春日若宮おん祭」。

そこには神との小さな逢瀬がありました。